文永10年(ʼ73)4月25日 52歳
本朝沙門日蓮撰す。
第一章 一念三千の出所を示す
<本文>
摩訶止観第五に云わく〈世間と如是と一なり。開合の異なり〉
「夫れ、一心に十法界を具す。一法界にまた十法界を具すれば、百法界なり。一界に三十種の世間を具すれば、百法界には即ち三千種の世間を具す。この三千、一念の心にあり。もし心がなければ三千を具することがない。介爾(けに=ほんのわずかばかり)も心があるならば、即ち三千を具するのである。乃至ゆえに称して不可思議境と称して、意ここにあるのである」等云々〈ある本に云わく「一界に三種の世間を具す」〉。
第二章 止観の前四等に一念三千を明かしていないことを示す
<本文>
問うて曰わく、玄義に一念三千の名目を明かしているか。
答えて曰わく、妙楽云わく「明かしていない」。
問うて曰わく、文句に一念三千の名目を明かしているか。
答えて曰わく、妙楽云わく「明かしていない」。
問うて曰わく、その妙楽の釈はどうか。
答えて曰わく、「ならびにいまだ一念三千と云わず」等云々。
問うて曰わく、止観の一・二・三・四等に一念三千の名目を明かしているか。
答えて曰わく、これもない。
問うて曰わく、その証拠はあるか。
答えて曰わく、妙楽云わく「故に、止観の『正しく観法を明かす』に至って、ならびに三千をもって指南となしている」等云々。
疑って云わく、玄義第二に云わく「また一法界に九法界を具すれば、百法界・千如是となる」等云々。文句第一に云わく「一入に十法界を具すれば、一界がまた十界である。十界に各十如是あれば、即ちこれ千如是となる」等云々。観音玄に云わく「十法界互いに具して、即ち百法界となる。千種の性相、冥伏して心にある。現前していないようだが、そのまましっかり具足している」等云々。
問うて曰わく、止観の前の四に一念三千の名目を明かしているか。
答えて曰わく、妙楽云わく「明かさない」。
問うて曰わく、その釈はどうか。
答う。弘決第五に云わく「もし正観に望めば、全くいまだ行を論じていない。また二十五法の修行等を明かし、具体的な問題に約して解答している。まさによく正修のための方便となす修行であった。この故に、前の六(第四巻まで)は皆解に属して正行ではなかった」等云々。
また云わく「故に、止観の『正しく観法を明かす』に至って、ならびに三千をもって指南となした。乃ちこれ終窮究竟の極説である。故に、序の中に『己心の中に行ずるところの法門を説く』といっている。まことに理由のあることである。請い願わくば、尋ね読まん者、心に異縁を生じてはならない」等云々。
時短のため、「問うて曰わく、答えて曰わく」を「問うていう、答えていう、」にするのを省きました。意味がわかりそうな古語はこれからも現代語にしないかもしれません。
この御書は現代語版が書籍になっていますので、そちらを1100円で購入されるといいと思います。
<感想>
さて、いきなり問答形式で始まりましたね~、またかい!って思いましたが、内容が難しいわ。って、で、これ続けて載せても大丈夫かな~
青年一級の人とか観心本尊抄よく出題範囲になってて勉強されてますよね。
大事な御文だけ載せたいです。赤線引いたとこだけでも沢山ありすぎだけどね。
観心本尊抄、もしかしたら、人によってはちんぷんかんぷん!かも?!
私がよく読んできた拡大版御書を開くと、どのページにも赤線いっぱい引いてあるので、よっぽど大事なことが沢山書いてある御書なんだって思って、講義本を見てみたら、戸田先生のお講義の本でした。日蓮大聖人御書講義の最初のほうは戸田先生が書かれてたんだって感動しました。読みたいと思って、決意して、ブログに書きだしたものの、読んでくださる方の反応は、いかに?どやさ?続けていいかしらん。
まだ一回目でそんなこと聞いたら、あかんかな。もうちょっと先で考えようか。
因みに序章だけでも90頁ほどあって、少し読んだだけでも内容が濃くて難しくてすごい。書けないですが。(苦笑)全部で500頁ありますね。御書はそれほどでもないかな。まあ、できるところまでやってみよう。
さて、補足です。
富木常忍に与えられた重要御書です。正しくは「如来滅後五五百歳始 観心本尊抄」といいます。もともと漢文体で書かれていたそうです。中山法華経寺に御真筆が現存しています。写真を見るとほんまに漢字ばっかりだ。
人本尊開顕の書である開目抄は四条金吾に、そして、この法本尊開顕の書である観心本尊抄は富木常忍にと与えられたということです。覚えやすいですね。
有名な御書なのに読んだことないって人多いかもしれん。一度はわからんなりに読むべきかも。
とりあえず、頑張りましょう。