一、随喜品
御義口伝に云わく、妙法の功徳を随喜することを説くなり。「五十展転」とは、「五」とは妙法の五字なり、「十」とは十界の衆生なり、「展転」とは一念三千なり。教相の時は「第五十人」の随喜の功徳を校量(きょうりょう)せり。五十人とは、一切衆生のことなり。妙法の五十人、妙法蓮華経を展転するが故なり。いわゆる、南無妙法蓮華経を展転するなり云々。
<通解>
この随喜品第十八では、前品の分別品第十七で説かれた現在の四信と滅後の五品の中の、初品の随喜品第十八の因の功徳を説いている。
御義口伝には、次のように仰せである。
この品は、妙法の御本尊の功徳を随喜することを説くのである。特に、この品の中で説かれている五十展転とは、これを観心の立場より論ずると、五とは妙法蓮華経の五字を意味する。十とは十界の衆生である。展転とは一念三千をいうのである。
これを教相の上で論じた場合には、五十展転とは、妙法の功徳への随喜を、一人から他へ次々と語り伝えたとき、その第五十番目の人がそれを聞いて随喜する、その功徳がいかに大きいかを示したのである。ここで五十人というのは、何も五十人に限定するのではなく、一切衆生を意味するのである。妙法を持った人々がそれぞれ妙法蓮華経を説いていく、即ち南無妙法蓮華経の御本尊を弘めていくからである。