第二十六 寿量品の対告衆の事
寿量品が誰のために説かれたのか、すなわち対告衆について、説かれたところです。
御義口伝に云わく、経文は(文上においては)「弥勒菩薩」が対告衆になっている。しかしながら、寿量品は一往は在世の衆生のためである。だが、再往は滅後を本(正意)とする故に、対告衆は日本国の一切衆生になる。中でも、日蓮等の類い、南無妙法蓮華経と唱え奉る者がこれである。「弥勒」とは、末法の法華の行者、御本仏を指す。
「弥勒」をば漢語で「慈氏」と訳す(一切衆生の心中の慈悲心をあらわす)。法華の行者(大聖人)を指すなり。
章安大師云わく「彼がために悪を除くは、即ちこれ彼が親なり」。これあに「弥勒菩薩」にあらずや云々。