御書大好き!!

御書を拝読して感動したことなどを書きます。

二病抄 中務左衛門尉殿御返事 1178頁 57歳御作

およそ人には二種類の病気があり、一つには身(肉体)の病(やまい)、いわゆる地大百一・水大百一・火大百一・風大百一・以上の四百四病がある。これらの病は治水(じすい)・流水(るすい)・耆婆(ぎば)・中国古代の名医と言われた偏鵲(へんじゃく)等の方薬(医薬)によって治すことができる、二つには心の病、いわゆる(貪・瞋・癡の)三毒・や八万四千の煩悩の病である、この心の病は仏の力でなければバラモンの神である二天・三仙でも治すことはできない。まして儒教の神農(しんのう)黄帝(こうてい)の力など及ぶものではない。

講義から:

「身の病」「心の病」とは必ずしも肉体の病、精神の病というふうに分けられるものではない。身体上の顕れた病でも心・生命のゆがみ、にごりが原因で起こった場合は「心の病」となる。逆に精神疾患でも大脳細胞の損傷によるものは「身の病」に入る。さらにまた「心の病」とは必ずしもいわゆる病気をいうのではない。生命自体の病根を指している。すなわち「三毒乃至八万四千の病なり」とあるように、人間精神の内奥から起こった様々な煩悩が人間生命をむしばみ、生命力を衰えさせていくことを指している。この領域になると医学ではなかなか治しがたい。生命そのものに取り組み解明した哲学が必要になる。仏法で解決していくよう教えられている。

 

又心の病に浅深軽重が種々に分れている。すなわち六道を輪廻(りんね)している凡夫の三毒や八万四千の煩悩による心の病は、小乗の三蔵・倶舎・成実・律宗などの仏でもこれを治すことができる。しかし、大乗の華厳経般若経大日経等の経経をそしって起る三毒八万の病は小乗をもつてこれを治そうとすればかえって病気が悪化することはあっても、平愈全くなし(完治することは全くない)、その場合は大乗の教えをもってこれを治すしかない。また、大乗経の行者が法華経に背(そむ)いて起るところの三毒・八万の病は華厳・般若・大日経真言・三論等の法をもってこれを治そうとすれば、治るどころかいよいよ増長する。たとえば木石等より出た火は水をもつて消しやすい。水(油)より起る火は水をかくればかえって火勢が増して炎が高く燃えあがるようなものである。

今の日本国に去年から今年にかけて流行っている疫病は、身の病の四百四病ではないから華陀(かだ)偏鵲(へんじゃく)の治療も及ばない。また、小乗、権大乗をもって治すことができるような八万四千の軽い心の病でもないから、諸宗の人々が祈っても叶うことがなくかえって重くなる。たとえ今年は・とどまったとしても年ごとに起こってくるであろう。結局最後は一大事が起きた後にはじめておさまるようになるのかもしれない。

 法華経(譬喩品第三)に「もし医道を学び、その手立てにしたがって病を治せば、更に他の病気を併発したり、あるいはまた死にいたることもあり、しかもまた病勢を増すであろう」と。涅槃経に云く「その時に王舎大城の阿闍世王の全身に悪瘡が生じた。このような悪瘡は心から起こったのである。地・水・火・風の四大から起こったのではない。もし人が医術をもって治そうとしても決して治る道理がない」と。妙楽の云く「智人は起(将来起こるべきこと)を知り・蛇は自ら蛇を識る」云云、

今日本国に流行している疫病は、阿闍世王の悪瘡のようなものである。彼の悪僧は仏(釈迦)でなければ治せなかった。今日本国に流行している疫病は法華経でなければ取り除くことができない。

なおまた日蓮の下痢も去年十二月三十日から始まって、今年六月三日、四日頃まで、一日一日とその度を増し月々に重くなった。定業かと思っていたところに、あなたの良薬を服して以後は、日々月々に下痢も減って今では百分の一となりました。教主釈尊があなたの身に入りかわって、日蓮を助けられるのであろうか。また地涌の菩薩が妙法蓮華経の良薬を授けられたのであろうかと不思議に思っております。詳しいことは筑後房(日朗)から申しあげることでしょう。又追つて申しあげます。

あなたの使いは今月二十五日戌の時(夜8時ごろ)来ました。種種のご供養の品々は数えきれないほどです。富木殿のかたびらのこともよろしく申し上げてください。又奥様の御祖父が亡くなられたとのこと悲しく思っていることも申し上げてください。

 

(比較的短い(1頁と3行)御書なので本文がよくわかるように通解に直しながら載せました。)