富木常忍に送られた短いお手紙です。
仕候なり
(仕えておられます)
褒美に非ず実に器量者なり、
(誉めて言うのではないが、まことに器量者である。)
(来年の正月、大進阿闍梨房とともに越中にこれを派遣するつもりである。)
白小袖一つ給い候い畢んぬ、
(白小袖を一つ受け取りました。)
今年日本国一同に飢渇の上佐渡の国には七月七日已下天より忽ちに石灰虫と申す虫と雨等にて一時に稲穀損し其の上疫病処処に遍満し方方死難脱れ難きか、
( 今年は日本国全体に飢饉の上、佐渡の国には7月7日以降、空から急に石灰虫という虫が降ってきたのと雨等によって、いちどきに稲や穀物を損ない、その上伝染病があちこちに広く充満し、人々は死をのがれたいようである。)
事事紙上に尽し難く候、恐恐謹言。
(色々紙面に書き尽くせないのです。恐恐謹言)
十一月三日 日 蓮在御判
土木殿御返事