御書大好き!!

御書を拝読して感動したことなどを書きます。

春初御消息 1585頁 新版/1928頁

344)

春初御消息

 弘安5年(ʼ82)1月20日 61歳 南条時光

 伯耆殿が書かれたこと、よろこんでおります。

  春の初めの御悦び、木に花のさくがごとく、山に草が萌え出るように、我も人も悦び入っております。さて、御送り物の日記、米一俵・白塩一俵・十字三十枚・いも一俵、確かにいただきました。
 深山の中に、白雪、三日の間に庭は一丈につもり、谷はみねとなり、みねは天にはしごをかけたようである。鳥・鹿は庵室に入り、樵牧(しょうぼく=きこりと牧夫=牧畜を営む人)は山に入らない。衣はうすいし、食はなくなってしまった。夜はかんく鳥のようであり、昼は里へ出ようとおもう心が絶えない。すでに読経のこえもたえ、観念の心もうすくなった。今生退転して、未来三・五を経んことをなげいていたところであったが、この御供養に命もいきかえり、またお目にかかれるであろうと思うとまことにうれしい。
 過去の仏は、凡夫であられたとき、五濁乱漫の世に、このように飢えたる法華経の行者を供養して仏になられたとある、法華経が真実ならば、この功徳によりて過去の慈父は成仏疑いない。
 故五郎殿も、今は霊山浄土にまいりあわせ給いて、故殿に頭をなでられているであろうと思いやると、涙かきあえられず(涙をおさえることができない)。恐々謹言。
  正月二十日    日蓮 花押
 上野殿御返事
  恐縮ではあるが、くれぐれも、ほうき殿が一々に読み聞かせてあげていただきたい。