短い御書です。別名「時国相応御書」また「時国相応の事」といいます。
最初の芋は石の如しとあるのは、保存用に干したため石のように堅くなった里芋だからである。そのあとの形容も面白いですね。ごぼうは大牛の角のごとし、大根は大仏堂の大釘ごとし、と。
時光からの様々な供養が大聖人の御命を支える貴重なものであることを感謝されたものと拝することができる。
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上野殿御返事(時国相応の事)
いえのいも一駄・ごぼう一つと・大根六本。
いもは石のごとし。ごぼうは大牛の角のごとし。大根は大仏堂の大くぎのごとし。あじわいは忉利天の甘露のごとし。
石を金に換える国もあり、土を米に売るところもある。千金の金を持つ者も飢えて死ぬ。これは一食の飯をつと(包みもの)に包んだ者に劣る。経に云わく「飢えたる世には、米が尊い」と云々。一切のことは国により時によるのである。仏法を行ずる者はこの道理をわきまうべきである。またまた申しあげよう。恐々謹言。
弘安四年九月二十日 日蓮 花押
上野殿御返事