御書大好き!!

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報恩抄 スピンオフ⑪

第21章 (新239頁) (全312頁)

弘法・慈覚・智証の誤りならびに禅宗念仏宗という災いが同時に起こっているのは、逆風に大波が起こり、大地震が度重なるようなものであるそれゆえ、次第に国が衰えてきた。太政入道平清盛が国を意のままにし、承久の乱で王位がつきはてて、世の実権は東国に移ったけれども、ただ国中の動乱のみで他国の攻めはなかった。
 当時は謗法の者は国に充満していたけれども、指摘する智慧ある人がいなかった。これらの理由でたいしたことは起きなかった。

譬えば、師子が眠っているときは手をつけなければほえない、急流は櫓を突っ張らなければ、波は高くならない、盗人は止めようとしなければ怒ることはない。火は薪を加えなければ燃え盛ることはない。謗法はあっても、指摘する人がいなければ、国も穏やかであるのに似ている。例せば、日本国に仏法わたりはじめたときに、始めはなに事もなかったけれども、守屋が仏を焼き、僧をいましめ堂塔を焼いたため、天より火の雨がふり、国に疱瘡が流行り、兵乱が続いたようなものである。


 このたびは、それとは比較にならない。謗法の人々も国に充満している。日蓮仏法の正義も強く責めている。修羅と帝釈や、仏と魔王との合戦にも劣らないだろう。
 金光明経には「その時に隣国の侵略者がこのような思いを起こすだろう。『当に四兵(象兵・騎馬兵・車兵・歩兵)をそろえて、彼の国土を破壊しよう』」とある。

また「その時に王は敵国の状況を見て、即ち四兵をそろえてその国へ出発し、討伐しようとするだろう。我ら四天王は、その時、当に眷属たる無量無辺の薬叉・諸神と、おのおの姿を隠して王を援護し、その敵が自分から降伏するようにするだろう」と説かれている。

最勝王経の文もまたこの通りである。大集経、仁王経にも(同様のことが)説かれている。これらの経文の通りであれば、正法を行ずる者を国主があだみ、邪法を行ずる者の味方をすれば、大梵天王・帝釈・日月・四天等、隣国の賢王の身に入りかわって、その国をせめるに違いない。例えば、訖利多王を雪山下王が攻め、大族王を幼日王が滅ぼしたようなものである。訖利多王と大族王は、インドの仏法を滅ぼした王である。中国でも仏法を滅ぼした王は、みな賢王に責められた。
 今の日本はインドや中国とは比較にならないほどである。仏法の味方であるかのように見えながら、仏法を滅ぼす法師を助け、正法の行者を滅ぼすので、愚か者には全くわからない。智慧のある者でも普通の智慧ある人では簡単にはわからない。天に住む神々でも、位の低い神々は、知らないかもしれない。そうであるから、中国やインドの昔の混乱よりも大きい混乱があるに違いない。