御書大好き!!

沢山の人が御書に親しめるように、現代語訳や講義、感想など書きます。

頼基陳状④ 新1577頁17行目 全1159頁18行目

それにしても、恩の深いご主人が、悪法の者たちにたぼらかされて悪道に堕ちてしまわれるのを思うと、嘆かわしくてなりません。

阿闍世王は提婆や六師外道を師として、教主釈尊を敵視しました。そのため摩竭提国の人々も皆、仏教の敵となり、阿闍世王に従う五十八万人もの家臣たちが、仏弟子を敵としてしまいました。しかし、その中でただ一人、耆婆(ぎば)大臣だけは仏の弟子でした。阿闍世王は、あたかも主君が頼基に対して思われているように、耆婆大臣が仏弟子であることを快く思ってはいませんでしたが、最後には六大臣の邪義を捨てて、耆婆の説く正しい法に帰依されたのです。同じように、主人を、最後にはきっと頼基がお救いしてまいります。

このように申し上げますと、阿闍世王は五逆罪を犯した大罪人ではないか。そのような者を引き合いに出すとはどういうことか、とお思いになるかもしれません。しかし、恐れながらも申し上げますが、殿は阿闍世王よりも百千万倍重い罪を犯しておられると、経文には明らかに示されています。

いわゆる、法華経の譬喩品には「今、この三界はすべてわたしのものである。その中の衆生は、ことごとくわたしの子である」と説かれています。
この教えのとおりであれば、教主釈尊こそが日本国すべての人々の父母であり、師であり、また主君でもあります。

ところが阿弥陀仏には、その三つの徳(父・師・主)はありません。それにもかかわらず、三徳を備えた釈尊を差し置いて、他仏である阿弥陀仏を昼夜朝夕にその名を唱えて六万・八万の名号を繰り返し唱えておられる。これは、なんと親不孝な行いではありませんか。

阿弥陀仏の「本願」も、もともとは釈迦如来が説かれたものですが、釈尊は最後にはそれを退け、「ただ我一人のみが衆生を救う」とお定めになりました。その後は、全く二人三人とは説かれていません。したがって、人にも父母が二人いないように、いったいどの経典に「阿弥陀仏がこの国の父である」とあり、どの論書に「阿弥陀仏が母である」と説かれているでしょうか。

観無量寿経(観経)』などに説かれる念仏の法門は、実は仏が法華経を説かれるための一時的な準備段階にすぎません。
たとえるなら、それは塔を建てるための足場のようなものです。

それを、同じ仏法なのだから、始めと終わりの違いだけであると思う人がいれば、それは大きな誤りです。塔を建て終わった後も、足場を尊ぶようなはかない者です。あるいは、「太陽よりも星の光の方が明るい」と言うようなものです。

経文には、このような人について「また仏の教えを聞いても、なお信じない人は、命を終えて、阿鼻地獄に堕ちる」と説かれています。

今の日本国の一切衆生は、釈迦仏をなげうって阿弥陀仏を念じる人、法華経を捨てて観経などを信じる人、あるいは、そうした謗法の僧を供養する在家の男女等、また、思いのほか、そうした五逆、七逆、八逆の罪を犯している僧を智者と仰ぐ諸国の大名僧、並びに、国主たちであります。法華経譬喩品に「このように互いに誤りを重ね、無数劫のあいだ迷い続ける」とあるのは、まさにこのことです。

このような誤りをなまじっか承っているので、ついでながらこのように申し上げました。宮仕えをする者には、上下の違いはあっても、それぞれの立場に応じて主君を敬う心があるはずです。もし、主君が現世と来世が悪くていらっしゃるであろうということを、ひそかに知りながらも、同僚や世間をはばかって申し上げないなら、それは与同罪になるのではないでしょうか。

したがって、頼基殿が父子二代にわたって、命をかけて主君にお仕えしてきたことは明らかです。亡き父・中務頼員(なかつかさよりかず)は、先代の主君がご勘気をこうむられたとき、数百人いた家臣の多くが心変わりして離れていった中で、ただ一人、最後までお供をして伊豆国まで従われました。

また、頼基は、文永十一年二月十二日の鎌倉の合戦のとき、折から伊豆の国にいましたが、戦いの知らせを十日の申の刻(午後四時ごろ)に聞くやいなや、ただ一人で箱根山を越えて駆けつけ、主君のもとで自害すべき八人の一人に加わりました。

ところが、幸いにも戦乱は自然に鎮まり、主君も今なお無事でいらっしゃいます。以来、どんな大事・小事においても、頼基は主君にとって心安く信頼できる者と見なされてこられました。

その頼基が、今さらどうして主君を疎遠に思うでしょうか。来世までもお仕え申し上げ、もし自分が成仏したならば主君をも救い申し上げ、また主君が成仏なさるならば、自分もその功徳によって救われたいと、そう心から思っているのです。

 

 

【頼基陳状は大聖人様が四条金吾に代わって、江間氏からの下し状に対する抗議文を書かれているので、時々それを忘れるとおかしなことになりますから、気をつけて読んでくださいね。】